水族館で、ラッコが胸の上に食べ物をのせている姿を見たことはありますか。両手を忙しく動かすラッコには、食べ物をちょっと置いておける場所があります。
それは、前脚の下にある、ポケットのような皮膚のたるみです。洋服を着ているわけではありませんが、体の一部が小物入れのように働きます。
ポケットの正体は、ゆるんだ皮膚
米国のモントレーベイ水族館は、ラッコが左右の前脚の下にあるゆるんだ皮膚を、獲物をしまう場所として使うと説明しています。
袋を外から付けているのではなく、体にもともとある折り目やたるみを利用しているのです。「ラッコのポケット」と呼ばれるのは、この部分です。
食べ物をしまうと、前脚が空く
ラッコは潜って食べ物を探します。見つけた獲物をポケットにしまえば、前脚を空けたまま、さらに探すことができます。
太平洋水族館の飼育個体を紹介した記録にも、食事中のラッコが貝の身をこの場所に一時的にしまう様子が登場します。手に持っていた食べ物が隠れて、また出てくる。その動きは、小さな手品を見るようです。
人が荷物をポケットに入れて両手を空けるのと、役割を重ねてみるとわかりやすいですね。ただし、ラッコが人と同じ考え方で使っているとまでわかったわけではありません。
海面では、胸が食卓になる
食べるときには、海面に戻ってあおむけに浮かび、胸の上を食べ物を扱う場所にします。硬い殻をもつ獲物には、石を道具として使うこともあります。
体にある収納場所と、食べ物をのせる胸。ラッコの食事には、見た目のかわいらしさだけでは気づきにくい工夫が詰まっています。次に観察するときは、前脚から食べ物がどこへ動くのかにも注目してみてください。
ラッコには、食べ物を一時的にしまって前脚を空けられる、わきの下のポケットがある。



