タコが腕を伸ばして、岩のすき間を探っています。吸盤は、ものをつかむためだけに使っているのでしょうか。
実は、タコの吸盤には、触れたものの化学的な成分を感じ取るしくみがあります。研究者は、その働きを「触って味わう」ことにたとえています。
吸盤は、触るためのセンサーでもある
2020年にハーバード大学の研究チームは、吸盤にある細胞から、ものに触れたときの成分を検出するセンサーを調べました。
触った感触に加えて、そこにどんな成分があるかという情報も得られるのです。岩のすき間に腕を伸ばすタコにとって、口へ運ぶ前に周りを探る手がかりになります。
水に溶けにくい成分にも、反応する
研究で注目されたセンサーは、水に溶けにくい一部の成分に反応しました。遠くへ広がったにおいをかぐこととは違い、触れることで近くの情報を調べる働きです。
だからといって、人の舌とまったく同じように「甘い」「おいしい」と感じている、と分かったわけではありません。「味見」は、人がその独特の感覚を想像しやすくするための表現です。
つかむ前の一瞬にも、情報がある
2023年の研究紹介でも、タコの触って感じるセンサーが、水に溶けにくい成分を調べることが説明されています。吸盤は、くっつく道具と、周囲を調べる道具の両方なのですね。
水族館や映像でタコを見るときは、腕が伸びる先と、吸盤が触れている場所にも注目してみましょう。何気ない動きに見えても、海の中の情報を集める時間かもしれません。
タコの吸盤は、触れたものの成分も感じ取ります。つかむ前に、腕で周囲を調べるための手がかりになります。



