バナナが実っている姿を見ると、「バナナの木」と呼びたくなります。人の背より高く育ち、大きな葉を広げるので、そう見えるのも自然なことです。

けれど、バナナは草本植物です。しかも、幹のように見える太い部分は、葉の付け根が重なってできています。

太い柱の正体は「偽茎」

葉の付け根には、茎を包むように伸びる「葉鞘(ようしょう)」という部分があります。バナナでは、この葉鞘が何層にも重なって、太い柱のような形をつくります。

植物学では、この柱を「偽茎(ぎけい)」と呼びます。「偽」という字は、役に立たないという意味ではありません。茎に見えていても、つくっているのは葉の一部だ、という区別です。

フロリダ大学の解説でも、バナナの偽茎は葉鞘が密に重なった構造で、葉や花・果実をつける軸を支えると説明されています。

本当の茎は、地面の下にもある

それでは、バナナには本当の茎がないのでしょうか。そうではありません。地面の下には、芽を出す場所をもつ茎があり、そこから新しい芽や根などが伸びます。

花をつける軸は、偽茎の中央を通って上へ伸びます。見えている太い柱と、その内側や地下にある茎を分けて考えると、バナナのつくりがぐっとわかりやすくなります。

「草」は小さい植物だけではない

草という言葉から、足元の小さな植物を思い浮かべるかもしれません。でも、大きさだけで木か草かが決まるわけではありません。

英国王立植物園キューの植物データベースでも、バナナを含むバショウ属は、大型で木のような姿をした多年生の草本として説明されています。

いつものバナナを支えていたのは、葉の付け根が重なった柱。果物売り場で見慣れた一本にも、育つ姿までさかのぼると、意外な構造が隠れています。

バナナの幹に見える部分は、葉の付け根が何層にも重なってできている。